京からかみで文様体験:御朱印帳作り
京からかみで文様体験
最近、文様のお話をさせていただいておりますが、たまたま
「京からかみ店:100年前の版木で作る御朱印帳づくり体験」
というのを見つけて、”そうだ!京都に行こう”のノリで思わず申込してしまいました。
今回は先日京都で行った型染体験を通して、作業工程をお伝えしたいと思います
京からかみ・型染ってなに?
紙や布などに色や形を染める技法には、手染や型染などあります。
私は、型に掘られた規則的で細かい型の図案の美しさや、「版・型」を用いた転写技法手法に興味を持ちました。
その版や型染の材質としては
・木版
・金属版
・紙型
などがあります。
木版は一般的な版画でも用いられるので私達にも馴染み深いと思います。
今回の体験は、木版(板木・はんぎ)に彫られた文様を「からかみ」に写し取るというものでした。
ちなみに、「からかみ(唐紙)」とは、1300年ほど前の中国が唐の時代、遣唐使により日本にもたらされた唐の紙の総称です。
その後、遣唐使は廃止され、国産のからかみが主に京都で作られるようになり、京都産のからかみは「京からかみ」と呼ばれるようになったそうです。
からかみに木版手摺によって写し取られる美しい装飾紙の「京からかみ」は、今でも昔ながらの素材や工具にこだわり、下記のような工程で行われています。
【唐紙づくりの工程】
からかみづくりの主な工程は下記になります。
ちなみに、作業中の自分の写真を取り忘れたので、説明写真は作業中の職人さんを撮らせていただきました。
①布海苔(ふのり)を煮る
布海苔とは、海藻の一種で雲母・絵具の接着剤として使用します。
布海苔を焦がさないように一昼夜炊いてゆき、程よい加減になったら
糊こし桶で裏ごしします。
②布海苔を漉して、顔料・雲母・胡紛などと乳鉢で調合する
糊こしで不純物を無くし、雲母や胡粉、顔料を調合し色調を整えます。
その日の温度や湿度によって布海苔の濃度も変わってくるそうです。
・雲母(きら):花崗岩の中の薄片状の結晶を粉末にしたもの。
絵具として使用され、独特の光沢と白さがあり、光を反射させる。
・胡粉:ハマグリやカキの貝殻を焼いて粉末にしたもの。
他の顔料や岩絵具と混ぜて多彩な色を出す。
③篩(ふるい)に刷毛で色を移す
唐紙独特の道具である篩は、杉などの細長い薄板をまるめた枠に寒冷紗やガーゼを張ったものです。
④篩で版木に色をつける
この篩に絵具を付けて、篩を軽く版木に押しつけて色を移します。
手のひらで擦って文様をつけるので、版木は深く彫られてあります。
3種類の板木から、こちらを選びました
軽くポンポンと版木に篩を置いていきます
こんな感じで色をのせます
⑤紙を置く
版木の見当にあわせて紙を静かに下ろします。
僅かでも狂うと、柄が切れたり重なってしまうので慎重に。
⑥手のひらで摺る
版面に置いた紙の裏面を手の平で、円を描くように撫でて柄をつけていきます。
⑦同じ模様を同じ個所に2度摺りする
先程擦った紙をめくって、篩の絵の具を再度版木に移します。
2度摺ることにより、質感を高めふっくらとあたかかみのある風合いに仕上げます。
⑧乾燥
通常は平干しにて自然乾燥。
(今回は短時間にてドライヤーで)
この体験では、主に③~⑧の工程で文様を写し取り、濃緑の用紙に金色の吉祥文様を摺ってみました
その後、この写した紙を基に御朱印帳のサイズに切り、用紙を貼り付け、御朱印帳を作成しました
手のひらで摺るというのが、この京からかみの特徴。
少しムラがあり、ふっくらとした立体的な量感のある模様が、何とも言えない味を出しています。
昔の版木や作品なども見せていただきましたが、最近は昔の版木をもとに現代に合わせた色使いにしたり、ご要望に合わせた作品を作っているそうです
間近で板木を拝見させていただきましたが、数百年前に現代に通用するようなデザイン性が高いものが作られていたのは、改めて日本の技術や芸術性の高さを感じました。
最後に、ご指導いただきました職人さん、スタッフの皆様 ありがとうございました
体験内容はこちら>京からかみ体験工房 唐丸様
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